とかげの仔 [頭の中に出てきたやつ]
紫陽花も向日葵も
みんな散って
オシロイバナだけが
まだ夏の顔をしている
あの日の休日
公園は花々で溢れて
木々の緑も鮮やかだった
観光客がぞろぞろと
がさつな靴音を鳴らして
湿った土壌を荒らしていくから
青い光線が逃げ出した
雑草の間をくねくねと
素早く描いた流線形
その主は、とかげの仔
綿毛の行方 [おっぽこ一番の思い出]
夏のプラットホーム
線路の敷石の白が眩しい
汗が流れるのを感じつつ
予定時刻を過ぎても
まだ来ない電車を待っている
苛立ちを隠せない人の間を
アザミの綿毛が飛んで行く
迷子のようにふらふらと
落ちそうになっては
また浮き上がり
微かな空気の流れに押され
着地点はまだ見つからない